盛夏の涼しさを誘う「冷やしそうめん」、厳冬にぬくもりをおぼえる「にゅうめん」。 四季折々に食卓を彩る手延そうめん揖保乃糸は、 保存剤などの添加物を使用しない自然の風味を活かした食品です。
播州地方に伝わる古文書をひも解くと、1400年ごろから「素麺」や「サウメン」などの記述が見られます。そして播州地方でそうめん作りが本格的になったのは江戸時代の宝暦・明和年間(1751~1771年)ごろ、また揖保乃糸の産地化は文化年間(1804~1818年)ごろと考えられます。
播州と但馬の国境から流れ出て瀬戸内海へそそぐ揖保川。水質がよく、流域の人々の生活や産業の振興に多くの恩恵を与えてきました。 増水のたびに上流から運び出された肥沃な土砂は流域に堆積して広大な農地を作り、ここで良質な小麦栽培が始まりました。また高瀬舟などによって、播州で作られたそうめんやしょうゆといった物資の輸送が行われ、流水を原動力とした水車製粉や搾油も盛んでした。揖保川流域で栽培した小麦を水車で粉に挽き、赤穂浪士の町で知られる赤穂の塩田で作った塩を加え、手延そうめんに加工しました。 このように、
「揖保乃糸」の名は、揖保乃糸の母なる川である「揖保川」にちなんで名付けられました。